「こちらです」
 日井に案内されて、一向は屋敷内の庭園を進んでいく。屋敷の正面玄関の脇を通ってなだらかな坂を登ると、見晴らしのいい場所にたどり着いた。そこは小高い丘になっており園内を見渡すことが出来る場所だった。奥の方に像の乗った台座が設置されている。
「展望台、ですか?」
 弓納は言うと、日井は頷き、徐に台座に近づいていく。
「ここです。この下に、地下へと通じる道があります」
 日井は天野を呼び寄せ、二人がかりで台座を移動させた。
「なるほどね。確かにこれはいかにもって感じの秘密の抜け穴ね」
 台座の下にあったのは螺旋階段。降っていくと中は空洞になっているようで、防空壕のような作りになっていた。奥の方に簡素な門が設けられいる。
「門、か」
「ええ。そこが離島へとつながっております」
 特に鍵も付けられていないようで、前に引くとあっけなく扉は一行の侵入を許した。扉の先は廊下になっているようで先が長く続いている。
「……屋敷からポートシティまで、どれくらいありましたっけ?」
 ふと、望月が尋ねる。
「さて、私はこの辺の地理に詳しくはない故、すぐには回答いたしかねます」
「望月さん。多分、四キロメートルあるかないか、くらいです」
「はあ。随分と、長い廊下ね」
 望月はため息をついた。

「こちらです」
 日井に案内されて、一向は屋敷内の庭園を進んでいく。屋敷の正面玄関の脇を通ってなだらかな坂を登ると、見晴らしのいい場所にたどり着いた。そこは小高い丘になっており園内を見渡すことが出来る場所だった。奥の方に像の乗った台座が設置されている。
「展望台、ですか?」
 弓納は言うと、日井は頷き、徐に台座に近づいていく。
「ここです。この下に、地下へと通じる道があります」
 日井は天野を呼び寄せ、二人がかりで台座を移動させた。
「なるほどね。確かにこれはいかにもって感じの秘密の抜け穴ね」
 台座の下にあったのは螺旋階段。降っていくと中は空洞になっているようで、防空壕のような作りになっていた。奥の方に簡素な門が設けられいる。
「門、か」
「ええ。そこが離島へとつながっております」
 特に鍵も付けられていないようで、前に引くとあっけなく扉は一行の侵入を許した。扉の先は廊下になっているようで先が長く続いている。
「……屋敷からポートシティまで、どれくらいありましたっけ?」
 ふと、望月が尋ねる。
「さて、私はこの辺の地理に詳しくはない故、すぐには回答いたしかねます」
「望月さん。多分、四キロメートルあるかないか、くらいです」
「はあ。随分と、長い廊下ね」
 望月はため息をついた。

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