「戦いがあったのよ、とても大きな勢力と。随分と一方的な侵略だったのだけど、きっと、少女達の力を脅威に感じたのね」
「力?」
「そう、力。少女のいた時代は、神代から人の代へと移り変わっている時だった。元を辿れば神の子孫だった者達は神性を失い、もう人も同然となっていく中で、彼女のいた民は中途半端ながらも神性を保っていた。言わば、神と人との中間にいた存在。だけど、それは外の人達にとってはとても恐ろしいことで、少女達のことを、そうね、今風で言うと妖怪、怪物と罵り、些細なことを口実にして討伐軍を送り込んだ」
「それから、どうなったの」
「今更逃げることも出来ないからと戦ったわ。でも討伐軍は圧倒的で、その民の持っていた力でもそれを覆すことは出来なかった。そして次第に追い詰められ、遂に服従か滅びかを選ぶこととなった。はじめ、その民はどうしたと思う?」
「……滅びを、選んだ?」
 太はたまきから目を逸らさずに、しかし躊躇いながら呟くように言った。
「貴方が申し訳なさそうに言う必要はないのよ。でも、半分当たり。その民は滅びの道を選んだ。だけど、ただ滅びを受け入れたわけじゃないの。それは私がいることが何よりの証拠。はじめ、重ねて同じ質問をするわ。その民はどうしたと思う?」
「それは、ごめん。僕には分からない」

「戦いがあったのよ、とても大きな勢力と。随分と一方的な侵略だったのだけど、きっと、少女達の力を脅威に感じたのね」
「力?」
「そう、力。少女のいた時代は、神代から人の代へと移り変わっている時だった。元を辿れば神の子孫だった者達は神性を失い、もう人も同然となっていく中で、彼女のいた民は中途半端ながらも神性を保っていた。言わば、神と人との中間にいた存在。だけど、それは外の人達にとってはとても恐ろしいことで、少女達のことを、そうね、今風で言うと妖怪、怪物と罵り、些細なことを口実にして討伐軍を送り込んだ」
「それから、どうなったの」
「今更逃げることも出来ないからと戦ったわ。でも討伐軍は圧倒的で、その民の持っていた力でもそれを覆すことは出来なかった。そして次第に追い詰められ、遂に服従か滅びかを選ぶこととなった。はじめ、その民はどうしたと思う?」
「……滅びを、選んだ?」
 太はたまきから目を逸らさずに、しかし躊躇いながら呟くように言った。
「貴方が申し訳なさそうに言う必要はないのよ。でも、半分当たり。その民は滅びの道を選んだ。だけど、ただ滅びを受け入れたわけじゃないの。それは私がいることが何よりの証拠。はじめ、重ねて同じ質問をするわ。その民はどうしたと思う?」
「それは、ごめん。僕には分からない」

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