プロローグ 第五章:窮追

―― 菅原大学。構内。

天野「今日もつつがなく講義は終わりか。しかし、個室がないというのはつくづく辛いな。研究室に寄生するわけにもいかんし、なんとかならんもんかね」
天野は講義棟から出てきて大学の入り口の方へと足を向ける。
?「ジー」
天野「ん?」
誰かの視線に気付く天野。
天野「君、どうした。私の顔に何かついているかな」
女子学生「ハッ。す、すみません。ボーっとしていました」
天野「そうか、それならよかった。たまには呆けているのも結構だが、あまり呆けすぎないように」
女子学生「はい。失礼します」
天野を見つめていた女子学生はそそくさと去っていった。
天野「ふむ、しかし女学生に見られていることが多い気がする。まあいいか」
天野もその場から立ち去っていく。
?「……」
太(調べによると、そろそろ先生は何処かへと去っていく時間。徒歩のようだから見失う心配もない、多分。助けておいてもらってなんだけど、貴方の秘密は突き止めさせてもらいます)
太は天野の後ろをつかず離れずに付いていく。