夕焼けに照らされる北宮神社前の通り。大通りから外れているためか行き交う人はなく、時折上空を滑空する群鳥の鳴き声が聞こえるばかりである。
 坂上は微かに夜の気配が漂う橙色の空を眩しそうに見つめる。
「ああ、眩し」
 何故だろうか、昔は心を満たしてくれたこの陽の光が今は少し胸に突き刺さる。歳を取ると食べ物の好みが変わるように心境にも変化が起きると言うが、こんなに美しいものに対する心持ちまで変わってしまうものなのか。
 まあ、こんなのを辛いと思うのは自分が寂しい人間だっていう証拠なんだろうが、そう坂上はボソリと心の中で毒づく。
「おっといけねえ。郷愁に浸っている場合じゃねえわ」
 坂上は再び目的地に向かって歩き出しながら、先日起きていた車大破の件について思考を巡らせていた。
 思えば不可解な点だらけだ。ナンバーその他車体識別用の番号が欠けているから持ち主は分からず、持ち主も名乗りでない。よほど後ろめたい気持ちでもあるのか、それとも他に理由があるのか。
「はああ、推理の神様でも降りてこねえかな~」

 夕焼けに照らされる北宮神社前の通り。大通りから外れているためか行き交う人はなく、時折上空を滑空する群鳥の鳴き声が聞こえるばかりである。
 坂上は微かに夜の気配が漂う橙色の空を眩しそうに見つめる。
「ああ、眩し」
 何故だろうか、昔は心を満たしてくれたこの陽の光が今は少し胸に突き刺さる。歳を取ると食べ物の好みが変わるように心境にも変化が起きると言うが、こんなに美しいものに対する心持ちまで変わってしまうものなのか。
 まあ、こんなのを辛いと思うのは自分が寂しい人間だっていう証拠なんだろうが、そう坂上はボソリと心の中で毒づく。
「おっといけねえ。郷愁に浸っている場合じゃねえわ」
 坂上は再び目的地に向かって歩き出しながら、先日起きていた車大破の件について思考を巡らせていた。
 思えば不可解な点だらけだ。ナンバーその他車体識別用の番号が欠けているから持ち主は分からず、持ち主も名乗りでない。よほど後ろめたい気持ちでもあるのか、それとも他に理由があるのか。
「はああ、推理の神様でも降りてこねえかな~」

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