ロストミソロジー 一章:白い髪の少女

 夢を見た。
 記憶にないのだけど、懐かしい夢だ。
 きっと前のように、誰かの夢を見ているのだろう。
 どこかの夕暮れの山道。少女が小さな少年と一緒にいた。
 少女は泣きじゃくる少年を宥めるのに大変そうだけど、その顔は何故だか笑っている。
 もう、泣き虫さんね。
 少女は少年の頭を撫でながら言った。
 だって、怖かったんだもん。
 少年は泣きべそをかきながら、必死に訴える。
 よしよし、こわいのこわいのとんでけー。
 少女がそんなことを言うと、少年は泣き止み、少女を見つめながらこんなことを言った。
 それ、違う。
 折角考えたのに、この子はもう、可愛くないやつめ。
 しかしそう漏らした少女の顔は、とても愛おしそうであった。