プロローグ 第三章:誘い

太(気が付いたら翌日、か。食料は渡したけど、本当にこのまま帰ってもよかったのだろうか。宗像さんあんなこと言ってたけど、実は……なんてことは)
太「いやいや、やめておこう。人の好意を無駄にしてはいけない」
元々あそこ、鶴陽楼に来たのは部の懇親会のためであった。総会と懇親会がある時、大学の部やサークルはしばしばあそこを利用する。しかし、今回の懇親会の後に待っていたのは部誌の編集であった。度重なるハプニングのため、定期刊行している部誌の編集が延びに延びてしまっていたのだ。
そして、太は紆余曲折から鶴陽楼に来てそれを手伝うことになった。
太「静かだな。遠くの潮騒の音が聞こえてきそう」
太は辺りを見渡す。ここは彼が普段来ない場所である。もちろん、土地勘はないので迂闊に進めばすぐさま迷ってしまうだろう。
ただ、
太「偶然か運命か、ここって学校の……いや、というか、あれだ」
自然と彼の足は亡霊の噂のあった学校の方向へと向かっていった。どうせ少し様子を見るだけだ。大したことはない。起きる筈がない。